欧州では、ソブリン債務危機の懸念がある中、景気の減速感が広がってきた。これまで南欧諸国が財政危機に瀕しても、ドイツやフランス、オランダなど北部の経済大国がユーロ圏全体の景気を引っ張ってきたが、各国の相次ぐ4−6月期の域内総生産(GDP)が鈍化する結果となり、ユーロ圏の景気低迷が懸念されている。
欧州連合統計局(ユーロスタット)が16日発表した4−6月期(第2四半期)のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値は前期比0.2%増と、2年ぶりの低成長となった。市場予想0.3%を下回り、1−3月期(第1四半期)の0.8%増から大きく減速した。EU最大の輸出先である米国や、中国など新興国の高成長も、欧州企業の輸出に貢献してきたが、米・中向け輸出は3月をピークに減少に転じている。世界的な景気減速懸念が強まるなか、米・中の経済動向に連動したといえよう。
また国別では、ドイツ連邦統計庁が16日発表した4−6月の実質GDP速報値(季節調整済み)は前期比0.1%増に伸びが鈍化し、1−3月(第1四半期)でも1.5%増から1.3%増に改定された。データによると、輸出から輸入を引いた純輸出がマイナスとなり、個人消費も伸び悩んだ。個人消費が急減したフランスでは、4−6月の経済が予想外のゼロ成長と発表され、イタリアのGDPは前期比0.3%増にとどまっている。ユーロ圏随一の経済大国ドイツの成長鈍化が鮮明となったことで、ユーロ圏経済が再び低迷する懸念が再燃しているのである。欧州中央銀行(ECB)の金融政策でも、一段と景気が低迷するようであれば、政策金利の引き下げへの転換が必要になってこよう。
ユーロ圏国別の実質経済成長率(前期比、%)
| 国 |
1−3月期 |
4−6月期 |
| ドイツ |
1.3% |
0.1% |
| フランス |
0.9% |
0.0% |
| イタリア |
0.1% |
0.3% |
| スペイン |
0.3% |
0.2% |
| オランダ |
0.8% |
0.1% |
| ポルトガル |
−0.6% |
0.0% |
情報参考:FX!高金利通貨でスワップ生活@外貨ブログ
ユーロ圏の6月失業率は前月比9.9%と高止まりして、内需でも設備投資と個人消費の回復は見込み辛い。また、目先の増税や歳出削減など財政再建は、各国の景気を冷やす方向に働くと思われる。南欧諸国の債務問題の影響で、ユーロ圏の信用不安は域内銀行の貸し渋りなどから成長を阻みかねない。そのため、ユーロ圏当局者たちの政策運営は、非常に難しいかじ取りになると思われ、ユーロの売り圧力を強めることになろう。
今週の最大のイベントは、26日のバーナンキ米FRB議長の講演だろう。米金融政策の転機になるとの思惑が強いため、市場の反応は大きくなる可能性が高いものの、76円台を一旦下方ブレイクしたことや、本邦要人発言が相次ぐなど為替介入に対する警戒感も引き続き根強いため、ドル円は比較的底堅く推移すると予想する。波乱要因となっていたSNB(スイス国立銀行)によるスイスフラン高抑制の動きが落ち着いてきていることも、ドル円下値を支える要因となるだろう。
したがって、今週はバーナンキ米FRB議長の講演までは、ポジション整理に伴う自立反発的な値動きによって戻りを試す可能性が高いと予想する。ただし、77円台を回復できないなど上値の重さが顕著となれば、早々に76円割れを再トライする展開も否定できない。なお、バーナンキ米FRB議長の講演内容によっては、予想レンジをブレイクする可能性があるため、講演直後の値動きには十分警戒が必要だろう。